夫の会社名義の財産は財産分与の対象になる?
離婚の際、夫が会社の経営者であった場合、夫の会社名義の財産は財産分与の対象になるのでしょうか。
例えば、夫の会社経営を10年間サポートしてきたが、価値のある財産のほとんどが会社名義となっているというケースですが、この場合、財産分与についてどのように考えればよいのでしょうか。
会社名義の財産について財産分与は受けられないのでしょうか。
この場合、会社名義の財産から財産分与を受けられる可能性があります。
会社と個人は別人格
まず、会社とその経営者であるご主人は、法律的には別の人格です。
そのため、会社の保有する財産は、夫婦にとっても第三者名義の財産ということになります。
したがって、原則として、会社の財産に対して別れる妻が財産分与を請求することはできません。
但し、第三者名義の財産といっても、常に、財産分与の対象とならないわけではありません。
夫婦が共同で形成した財産といえるか
財産分与という制度は、夫婦が共同で形成した財産を公平に分配するためのものです。
財産分与の対象となるのは、夫婦の「共有財産」(名実ともに夫婦の共有に属する財産)です。
また、「実質的共有財産」(名義は夫婦の一方に属するが、夫婦が協力して形成した財産)も対象となります。
つまり、夫婦が共同で形成した財産と評価できれば、名義に関わらず、すべて財産分与の対象となります。
さらに、その財産の名義が第三者である会社(法人)であっても、財産分与が認められる場合があり得ます。
法人という形はとっていても、それは単に税金対策や財産管理のための方便であって、株式の保有状態や経営状態から見て、経営者の個人経営である場合には、会社の財産イコール夫の財産となります。
その場合には、会社財産も財産分与の対象となります。
上記のケースもこれに該当する可能性があります。