夫が突然離婚したいと言いだし、家を出ていってしまいました。私は、専業主婦で中学1年と小学4年の子どもが2人いますが、夫は別居してから生活費を支払ってくれません。どうしたらいいでしょうか。
別居していても、夫婦の間や子どもに対しては、経済力のある方の配偶者が相手方の生活費(これを婚姻費用といいます。)を負担する義務があります。
支払ってもらえる額について当事者で合意ができない場合は、家庭裁判所に調停の申立をし、調停でも話がつかなければ、裁判官に審判で決めてもらいます。
最近では、婚姻費用の額の算定を、迅速にできるようにするために、裁判所が婚姻費用の額を決める場合には、あまり個別の家庭事情を考慮せず、夫と妻の所得額、自営業者か給与所得者か、子どもの数、各子どもの年齢という要素だけから、算出することが多くなりました。
例えば、夫が会社員で年間の給料総支給額が750万円、妻が専業主婦であったとすると、妻が夫に請求できる額は月額14~16万円程度です。
夫が自営業者の場合は、夫の総収入は「課税される所得金額」をもとに算出します。
問の事例で、夫の課税所得額が600万円の場合は、妻が夫に請求できる額は月額16~18万円程度です。
調停、審判で婚姻費用が決まったにもかかわらず、相手方が支払ってこない場合には、相手方の給料を差し押える等の強制執行ができます。
以前は、支払期限がすでに到来している分の婚姻費用しか差押えできなかったので、支払ってこない相手には、何回も、何回も差押えをする必要がありました。
しかし、法律が改正され、平成16年4月1日から、相手方が1回でも婚姻費用の支払いを怠った場合には、これから支払ってもらえる予定の将来の婚姻費用のために、相手方が将来受け取る給与等を差し押さえることができるようになりました。
この差押え手続をすれば、毎月、あなたが夫から支払ってもらえる婚姻費用の分を、夫の会社から直接あなたの口座に振り込んでもらえます。
婚姻費用をもとに給料を差し押えることができる限度額は、通常の差押えの場合より優遇されており、給料から税金や社会保険料を控除した残金の2分の1です(なお、給料から税金、社会保険料を控除した残金が66万円を超える場合には、その額から33万円を控除した金額を差し押さえることができます)。