間接強制について、債務者に債務を弁済する資力がないのに間接強制の決定がなされる、又は、債務者にとって過大な間接強制の額が定められる、というようなことはありませんか?
そのようなことがあると、いたずらに債務者の支払うべき金額が増加し、過酷な結果が生ずることが懸念されます。
そこで、債務者が支払能力を欠くためにその金銭債務を弁済することができないとき又は弁済することにより生活が著しく窮迫するときは、間接強制の決定をすることができないものとし(同法167条の15第1項ただし書)、いったん間接強制の決定があっても、事情の変更があったときは、債務者の申立てにより、その申立て時までに遡って間接強制の決定を取り消すことができることとしています(同条3項)。
さらに、間接強制の決定をするに当たっては、適正な間接強制金の金額が定められるように、債務不履行により債権者が受けるべき不利益や債務者の資力、従前の債務の履行の態様を特に考慮しなければならないとされ(同条2項)、また、間接強制の決定をする場合には、相手方である債務者の審尋をしなければならないとされています(同法172条3項)。
さらに、扶養義務等に係る金銭債権が定期的債権である場合には、その保護の必要性が高いことを考慮して、その一部に不履行があるときは、将来6月以内に期限の到来するものについても、一括して間接強制の申立てをすることができることとしています(同法167条の16)。
なお、この制度については、特に経過規定が設けられていないので、改正法の施行日である平成17年4月1日以前に成立した扶養義務等に係る公正証書等の債務名義についても、強制執行の申立てができます。