3年前から夫と別居状態なのですが、離婚を考えています。3年の別居期間を主な理由として離婚をすることができるのでしょうか。
夫婦間の話し合いによる合意を前提にする「協議離婚」や「調停離婚」では、別居期間の長短に関わらず合意に達すれば離婚が成立します。
一方、訴訟を提起し、最終的に裁判所が判断をする「裁判離婚」では、別居期間が重要な要素となります。
「裁判離婚」では、民法が定める離婚原因となる事情が認められる場合に裁判所が「離婚する」と判断を下すことができます。
あなたの夫について、①不貞行為があった場合(民法770条1項1号)、②悪意の遺棄(配偶者が家族を棄てて家を出て行ってしまったような場合)(同2号)、③3年以上生死不明の場合(同3号)、④配偶者が回復の見込みのない強度の精神病となった場合(同4号)のいずれかの事情がある場合には、別居期間の長さに関係なく、離婚が認められる可能性があります(ただし、別居の原因を作った配偶者から離婚を求めるような場合には、別居期間が問題となることがあります)。
他方、そのような事情がない場合には、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」(5号)があると認められるときにだけ離婚が認められます。
このような事由があるといえるためには、「婚姻関係が破綻し回復の見込みがない」といえるかどうかが問題となり、その判断に際して、「相当期間別居している」という客観的な事実が重要になります。
ただ、どの程度の期間の別居であれば婚姻関係が破綻しているとされるのかについて、はっきりとした基準があるわけではなく、最終的には裁判所の裁量(判断)に委ねられています。
つまり、裁判所が別居の期間の他に、夫婦の年齢や同居期間等様々な事情を考慮して、「この夫婦はもう修復が不可能だ」と判断した場合に離婚を認める判決を下すのです。
したがって、別居期間が同じでも、個々のケースで他の事情が異なりますから、結論も一概には言えません。
あくまで参考にすぎませんが、過去の裁判例等から推測すると6~8年程度の別居期間が「婚姻関係の破綻」を認める一つの目安になりそうです。
もっとも、裁判所が離婚を認める別居期間が徐々に短くなってきていることや民法改正案で5年の別居を離婚原因のひとつとする提案もあったことなどを考慮すると、現在はもう少し短い別居期間が目安とされているのかもしれません。
近時の下級審判例では、3年程度の別居の事案でも離婚を認めているケースも見受けられます。
本件でも、3年間の別居という事情だけでは裁判所が離婚を認める可能性は低いように思われますが、その他の事情如何によっては離婚が認められるかもしれません。
なお、離婚の原因を作った配偶者(有責配偶者と言います)の側から離婚を求める場合、裁判所は、離婚を認める条件の一つに「長期の別居期間」を要求しています(昭和62年最高裁判決)。
したがって、有責配偶者から離婚を求める場合、3年程度の別居期間で離婚が認められる可能性は極めて低いと思われます。