有責配偶者でも、離婚請求が認められるようになったと聞いたことがありますが、本当でしょうか。
離婚には、協議離婚と調停離婚と裁判上の離婚があります。
夫婦間で話し合いがまとまれば、それで離婚は成立しますが(協議離婚)、まとまらなければ調停を申し立てます(調停離婚)。
調停でもまとまらなければ、裁判所で判断してもらわなければなりません(裁判離婚)。
結局、話し合いが成立しなければ、裁判所の判決で離婚が認められないかぎり、離婚はできません。
では、有責配偶者が、裁判で離婚を請求しても、離婚は認められるのでしょうか。
この点、裁判所は、戦後、不貞をして夫婦関係を破綻させた責任のある方つまり有責配偶者からの離婚請求は、これを認めたら相手方は踏んだり蹴ったりだから認められない、という、有名な判例を示し、長年、実務に影響を与えてきました。
ところが、昭和62年に至り、最高裁判所は、それまでの考え方を転換し、有責配偶者からの離婚請求であっても、①相当長期間の別居、②未成熟子が存在しない、③相手方配偶者の精神的・社会的過酷状態が存在しないこと、という3要件がある場合には離婚を認める、との判断をしました。
ですから、一定の要件が必要ですが、有責配偶者からの離婚請求も認められるようになりました。
しかも、以後、判例は、この3要件を少しずつ緩和してきていますので、有責配偶者からの離婚請求も、認められる範囲が徐々に広がってきている、といえます。
もっとも、離婚請求が認められる場合でも、相手方からの慰謝料請求や財産分与請求が認められる場合もあることに留意が必要です。