家事をするくらいなら離婚したいとキャリアウーマンの妻から言われたら?
家事をするくらいなら離婚したいと妻から言われたら、どうしたらいいでしょうか。
次のような事例を考えてみましょう。
ごく普通の会社員である私には、妻と子どもが2人います。
妻は、結婚前はいわゆるキャリアウーマンとしてIT企業で働いていましたが、結婚してからは専業主婦をしてきました。
しかし、子どもが成長したので、妻は再び働き始めました。
私も、妻から働きに出たいとの相談を受けたときには、賛成しました。
しかし、いざ働き始めると残業が多く、家事も満足にできなくなりました。
私が妻に家事をするように言ってからというもの、夫婦で口論が絶えなくなりました。
妻は仕事が面白いらしく、「家事をするくらいなら離婚したい」と言い出す始末です。
離婚請求に応じなければならないのでしょうか。
まずは話し合い
まず、離婚の成立については、原則として夫婦間での話し合いによる合意が必要です。
これを「協議離婚」といいます。
話し合いがつかなければ、家庭裁判所で調停委員が間に入って調停が行われます。
ここでも、任意の合意により離婚が成立します。
これを「調停離婚」といいます。
これらは、夫婦間で、離婚について離婚条件(財産分与、養育費等)を含めて合意しないと成立しません。
本件では、一方当事者である夫が離婚する意思がない以上、協議離婚や調停離婚は成立しません。
離婚事由はある?
調停でも離婚が成立せず、一方が離婚を望むなら、裁判所に離婚訴訟を提起します。
裁判所が離婚を認めれば、相手の意思にかかわらず離婚が成立します。
これを「裁判離婚」といいます。
しかし、裁判離婚の要件は、(1)配偶者に不貞の行為があったとき、(2)配偶者に悪意で遺棄されたとき、(3)配偶者の生死が3年以上明らかでないとき、(4)配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがないとき、(5)その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき、と限定されています。
このケースは、今のところいずれにも該当しないと考えられます。
しかし、今後、(5)の事由に発展するおそれもあります。
例えば、夫婦関係の修復が難しくなり、長期間の別居状態に陥るなど婚姻関係が破たん状態になった場合には裁判所も「婚姻関係を継続しがたい重大な事由がある(民法770条1項5号)」として離婚を認める可能性が出てきます。
それまでに生活のあり方も含めて、お互いを理解しあうため、十分に話し合うことが必要でしょう。