一度浮気を許したのですが、改めて離婚を請求できるのでしょうか。
一度浮気を許した場合、改めて離婚を請求できるのでしょうか。
次のような事例を考えてみましょう。
私の妊娠中、夫は浮気をしていました。
大変ショックでしたが、乳飲み子を抱えて生活していけるはずもなく、泣く泣くがまんしました。
私の出産後は夫も浮気相手と別れ、育児にも協力的ですが、私はもう夫を信じることができません。
わだかまりを持ったまま生活していくくらいなら離婚したいと思い、話し合いを重ねたのですが夫は離婚に応じてくれません。
調停または裁判で離婚を求めようと思うのですが、一度浮気を許してしまったらそれを理由に離婚することはできないのでしょうか。
現時点で夫婦関係が破綻しているかを考える
夫の過去の浮気を許したことを理由に、離婚が認められないということはありません。
夫と離婚について調停・訴訟で争うことになった場合、裁判所は「現在」離婚する理由があるかどうかということを問題とします。
過去、夫がどういう状況で浮気修復したか、今の夫の生活状況や妻に対する姿勢はどうかということを聞かれますが、それはあくまで過去の事象が夫婦関係にどう影響しているかということを知るためです。
ただ、そうだからといって、妻の要求どおりすぐに離婚が認められるとも限りません。
現在の状況からして離婚を認められるだけの理由があるとは言い切れないからです。
離婚事由は?
裁判離婚の要件は、(1)配偶者に不貞の行為があったとき、(2)配偶者に悪意で遺棄されたとき、(3)配偶者の生死が3年以上明らかでないとき、(4)配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがないとき、(5)その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき、と限定されています。
調停や裁判では、夫が関係修復に真剣に取り組んでいるかということも含めて公平に夫婦関係の破たんの程度が判断されます。
夫が浮気相手と別れ、育児にも協力して家庭を大事にしようという姿勢を見せているのであれば、妻に対しても関係修復に向けて努力することを求め、離婚を認めないとする可能性が高いでしょう。
それでも離婚したいというのであれば、別居に踏み切る、就職先を見つけるなど具体的な行動をとって離婚の決意が固いことを相手に示していくほかないでしょう。