犯罪で捕まったことは離婚原因となりますか?
犯罪で捕まったことは離婚原因となるのでしょうか。
次のような事例を考えてみましょう。
私は、先日覚せい剤所持で警察に逮捕されました。
急に会社をクビになり、再就職もうまくいかす、いらいらしているときに昔の仲間と再会し、つい手を出してしまったのです。
実は、結婚前にも一度同じ容疑で捕まっており、二度目となる今回は実刑が科せられる可能性が高い、と弁護士さんに言われました。
面会に来た妻にその話をすると、もし本当に服役することになったら、離婚してほしいと言われました。
私が待っていて欲しいと願うのは身勝手なのでしょうか。
あなたが離婚されても仕方がないと納得するのであれば、離婚は成立しますが、認めたくないのであれば裁判で判断してもらうこともできます。
ただ、裁判になった場合、夫と妻、どちらの主張が認められるかは犯罪の内容や服役期間、夫のその後の生活態度などによって異なります。
服役したことや前科があるという事実だけを理由とする場合、裁判所はまず離婚を認めないと思われます。
民法でも、犯罪にかかわったことを裁判上の離婚理由とは規定していません。
裁判離婚の要件は、(1)配偶者に不貞の行為があったとき、(2)配偶者に悪意で遺棄されたとき、(3)配偶者の生死が3年以上明らかでないとき、(4)配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがないとき、(5)その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき、と限定されています。
ただし、夫が服役したり前科があったりすることによって、「婚姻を継続しがたい重大な事由」が生じた場合は、話が違ってきます。
たとえば、刑期が長い、凶悪犯罪をしたことが報道され、家族の日常生活に支障がある、軽微でも許しがたい犯罪を繰り返し、反省がない、といった事情がある場合は、離婚を認められる可能性が高いでしょう。
今回の場合は、服役を理由に妻が裁判所に離婚を中立てたとしても、すぐに離婚が認められる可能性は低いと言えます。
しかし、服役しても反省が見られず、生活態度を改めないといった事情がある場合は離婚が認められることがあるでしょう。