養育費を請求しないと約束したらもらえない?
養育費を請求しないと約束したらもらえないのでしょうか。
次のような事例を考えてみましょう。
私には子どもが2人います。
離婚後、一生懸命働いて1人で育ててきましたが、先日、勤め先の会社が倒産してしまいました。
退職金もなく、なかなか再就職先も決まらないので、貯金が底をつきかけています。
このままでは子どもの学費にも支障をきたしかねないので、元の夫に金銭的な援助をしてもらえないかと考えています。
ただ、親権をもらう代わりに、「今後一切養育費を求めない」と離婚協議書に書いてしまったので、頼めずにいます。
このような場合、養育費を請求することはできないのでしょうか。
離婚協議で養育費を請求しない、と決めたことには、それなりの効力があります。
しかし、子どもの養育にかかる費用は本来、父母が共同で負うべきものです。
また、子ども自身にも、父母に養育を求める権利があります。
父母が自分達の都合で養育費の負担分を増減させたとしても、子ども白身の扶養を求める権利がなくなるわけではありません。
そこで、離婚時と大きく状況が変わっていない間は、離婚協議時の約束を有効としてもかまいませんが、親権者の収入が病気や会社の倒産などで激減し、子どもの養育に支障をきたすような状態になった場合は、子どもの権利を親権者が代理して、もう一方の親に養育費を請求できます。
今回の場合、親権者である母の収入がなくなっているわけですから、子どもの養育環境を維持するのが困難であることは容易に想像できます。
親には、自分の生活と同じ程度の生活を未成熟な子どもにさせる義務(生活保持義務)がありますから、これを基準に元の夫に養育費の請求をしてみましょう。
ただ、離婚協議時の約束がありますから、養育費の請求期間は通常のように子どもが成人するまでではなく、収入を得られる再就職先を見つけるまで、とするのが妥当と考えられます。