子の引渡し
子の引渡しとは
子の引渡しが問題となる場面は、1.別居中の夫婦間において一方が子を連れ去った場合、2.離婚した夫婦間において一方が子を連れ去った場合などが考えられます。
子の引渡しを求める方法
子の引渡しは、家庭裁判所の調停・審判を申し立てることにより請求することができます。
また、婚姻中で離婚を考えている場合には、離婚訴訟を提起し、その附帯処分として子の引渡しを求めることもできます。
子の引渡しの判断基準
子の引渡しの可否は、子の生育歴、子と親のかかわり方などを調査の上、子の現在及び将来の利益、幸福に反することのないよう配慮した上で判断されます。
具体的には、以下のような基準があります。
- 子の意思を尊重する(子の意思)
- 子の現状を尊重する(継続性)
- 乳幼児については母性を優先する(母性優先)
- 兄弟は原則として分離せず、同一の親に監護させる(兄弟不分離)
- 婚姻中に不貞があった等の有責性はあまり重視しない(有責性の排除)
- 父母の養育能力、心身の健康、性格、子に対する愛情、経済力、居住条件、監護補助者その他の援助体制
など
子の引渡しの実現方法(執行方法)
調停・審判等において子の引渡しが認められた場合、子の引渡しを実現する(子を取り戻す)にはどうするのでしょうか。
他方の親が引渡しを拒絶している場合等には、難しい問題となります。
例えば、「引き渡すまで1日当たり●円を支払え」など、金銭支払を課すことにより引渡しを求める方法があります。これを間接強制といいます。
その他、執行官が子を直接取り戻す方法もあります。これを直接強制といいます。しかし、直接強制は子に不安を与える可能性がありますので、子の心情・成長度合いに応じて執行の態様には十分に配慮することが大切です。