養育費不払いの問題
調停・審判などで決まった養育費の支払を受けられない場合、どうすればいいのでしょうか。
調停・審判などで養育費を支払うことが決まったのに、相手が支払わない場合に利用できる手続として、「履行確保」と「強制執行」の制度があります。
履行確保
履行確保には、調停、審判、判決などをした家庭裁判所が、権利者からの申出を受けて、義務者に対して支払を履行するように勧告するなどの手続があります。
履行を勧告する手続に費用はかかりませんが、義務者が勧告に応じない場合に支払を強制することはできません。
直接強制
直接強制とは、義務者の財産(不動産・債権など)を差し押さえて、その財産の中から支払を受けるための手続です。主な例として給料を差し押さえる場合などがあります。
直接強制の申立てには、①調停調書、審判書、判決書などの書面(正本)、②送達証明書、③審判の場合には、審判が確定したことの証明書が必要です。
これらの書類は、調停、審判、判決などをした家庭裁判所に申請して、交付を受けることができます。この他に、住民票や商業登記簿謄抄本などの書類が必要になることがあります。
債権執行の申立てには、手数料(原則として4,000円)及び郵便切手(実費3,000円程度。各裁判所によって異なります。)が必要です。
間接強制
間接強制とは、債務を履行しない義務者に対し、一定の期間内に履行しなければその債務とは別に間接強制金を課すことを警告した決定をすることで義務者に心理的圧迫を加え、自発的な支払を促すものです。
申し立てる裁判所は、養育費の支払について定めた調停調書、審判書、判決書などの書面により異なります。
間接強制の決定がされても義務者が養育費を支払わない場合、養育費や間接強制金の支払を得るためには、別に直接強制の手続をとる必要があります。