離婚は合意しているが離婚条件で合意できない
離婚時には、様々な条件を決める必要があります。
親権、面会交流といった「子ども」に関することや、財産分与、慰謝料、養育費、婚姻費用、年金分割等の「お金」に関するものがあります。
親権については離婚の法律要件なので決める必要がありますが、その他については離婚後に定めることができます。
しかし、紛争の蒸し返しや時効による請求権の喪失などを避けるためには、離婚と同時にすべて解決するほうが良いです。
そして、双方で合意した内容(離婚条件)については書面にすること、出来れば公正証書にすることが大切です。
書面にすることで、言った言わないなど後でトラブルになることもないですし、公正証書にすれば養育費が支払われない場合など、裁判等を経ずに強制執行することが出来ます。
加えて、書面化する際も、望んだ法的効果を発生させるために十分な文章かを確認すべきであり、養育費などの支払が長期に亘るものは弁護士に依頼して書面を作成してもらったほうが良いです。
では、離婚自体は合意しているが、離婚の条件で合意ができない場合、どうすれば良いのでしょうか。
離婚時には離婚後の生活を見据えて協議すべきポイントがあります。
このポイントを考慮して離婚条件を決めていくことが大切です。
離婚時に決めておく必要がある7つのポイント
1 財産分与
結婚後に取得した財産(住宅、預貯金等)は双方の協力によって得た財産として、名義に関わらず夫婦共有の財産とみなされます。
基本的に財産分与は折半となることが原則です。
但し、結婚前の預貯金や婚姻期間中であっても親から相続した財産は共有財産とはなりません。
財産分与の請求は、離婚成立後2年以内と決められており、また一度書面で請求権を放棄してしまうと離婚後に請求できなくなってしまいます。
そのため、財産分与に関しては離婚時に決めておいた方がよいでしょう。
財産分与について
2 慰謝料
配偶者から不倫や暴力といった不法行為を受けたことが離婚の原因である場合、不法行為を行った相手方に肉体的・精神的苦痛に対する損害賠償金を請求することができます。
慰謝料について
3 親権
未成年の子どもがいる場合、夫婦間でどちらが子どもの親権者となるかを決める必要があります。
親権者とは、
- 子どもの衣食住の世話・教育を行う
- 子どもに代わって財産の管理等を行う
権利と義務を持つ者を指します。
未成年の子どもが入る場合、親権者を決めない限り離婚をすることはできません。
また、親権者は一度決めてしまうと簡単には変更できませんので、慎重に決める必要があります。
親権と監護権について
4 養育費
養育費とは、子どもが社会人として独立自活できるまでに必要とされる費用をいいます。
子どもと別れて暮らす側には、未成年の子どもの衣食住にかかる費用・教育費・医療費等を支払う義務があります。
裁判所で利用されている算定表の額が養育費の基準にはなりますが、ご夫婦の状況によって、増減があります。
養育費は、毎月の定期金の支払いだけでなく、大学などの高等教育機関に進学した場合の学費負担なども取り決めておくことが大切です。
養育費について
5 面会交流
子どもと暮らしていない方の親が、子どもに会うことを面会交流といいます。
離婚後も、お子さんと交流を希望する方は多いですが、なかなか離婚後に内容や方法を決めるのは難しいです。
よって、離婚時に、交流の日時や頻度、一回の交流時間や元夫婦間の連絡手段等の協議が必要です。
面会交流について
6 年金分割
婚姻期間に応じて厚生年金の標準報酬(年金額を計算する際の基準となるもの)を分割することができます。
年金分割について
7 婚姻費用
離婚成立までの生活費のことです。
別居中であっても収入の多い側は相手方に対して生活費を支払う必要があります。
婚姻費用の金額は、離婚条件の交渉上とても重要なのでよく考えて決める必要があります。
婚姻費用について
離婚条件を話し合う際、弁護士に依頼すべきケース
上記のとおり、離婚時に決めるべき7つのポイントがあります。
しかし、夫婦間でこれらの協議を行うことが難しい場合があります。
以下のような場合には、弁護士に依頼した方が良いケースと言えます。
感情的になり相手と話が出来ない又は相手と対等に話し合いができない
相手が感情的になっていたり、相手方がDVやモラハラを行っているご夫婦の場合、話し合いができない、又は話し合いを一方的に進められてしまい不利な条件で離婚を成立させられてしまうリスクがあります。
このような場合は、弁護士に交渉の依頼を検討するといいでしょう。
弁護士に交渉を依頼することで、直接、相手方と連絡を取らなくて済むようになります。
これにより精神的に楽になったという方が多いです。
相手方に弁護士が付いた
相手方に弁護士がついた場合は、ご自身のみで対応してしまうと、相手にとって有利な条件で決着してしまう可能性があります。
相手方は専門的知識と経験を有するプロの弁護士が対応してくるので、知識と経験の差により交渉の進め方、合意する条件などに不利な影響を及ぼす可能性があります。
離婚の条件について争いがあり、かつ相手も弁護士を付けるような場合は、こちらも弁護士に相談をしたほうが良いでしょう。
相手又はご自身が会社経営者の場合
会社を経営し、株式を保有している場合、その株式の価値も財産分与の対象になります。基本的に会社の財産は会社のものですので、原則として、代表取締役(社長)が離婚する際に会社の財産を配偶者に分与する必要はありません(例外はあります)。
但し、代表取締役(社長)が所有している会社の株式は会社の財産ではなく、代表取締役(社長)個人の財産であるため、財産分与の対象になります。
この点を知らずに、財産分与で損をしているケースが散見されます。
また、株式の財産的価値を評価する方法も複数あり、ご自身だけではどう計算するのか分からないと思います。
よって、相手又はご自身が会社経営者の方の場合は、弁護士に依頼した方が良いでしょう。
会社経営者の方の離婚相談
財産関係が複雑な場合。自宅の住宅ローンなど不動産がある場合。
不動産の財産分与は非常に難しい問題があります。
まず、ご夫婦で共有名義になっている場合です。
また、ペアローンになっている場合、ご夫婦で主債務者と連帯保証人にそれぞれなっている場合、土地と建物で名義が分かれている場合、両親からの多額の援助があった場合など、きちんと離婚時に整理をしないと、離婚後、新たな紛争が起こり易くなります。
弁護士に依頼しないで、不動産の名義や住宅ローンはそのままにし、どちらがいつまで住むということだけをご本人同士で約束して離婚しているケースが多数ありますが、離婚後にトラブルになり、ご相談に来られる方が多数いらっしゃいます。
不動産は、長い将来を見据え、後々トラブルにならないよう、離婚時にできる限り、名義もローンも片方に揃えた方が良いでしょう。
場合によっては、売却した方がいいケースも多数あります。
それぞれの離婚後のライフスタイルだけではなく、金融機関の意向や不動産価格と住宅ローン残額の関係といった「第三者の事情」も考慮に入れなければ、住宅ローン付の不動産の処理をすることはできません。
そのため、離婚協議や離婚調停手続においては、離婚後のライフスタイルを希望として描きつつも、双方の経済能力、不動産価格動向等を冷静に見極めるほか、慰謝料や養育費などの財産給付の負担・受領額も考慮に入れながら、現実的な決着点を探る必要があります。
離婚に精通した弁護士であれば、上記のような離婚後の不動産トラブルを予測し、出来る限り将来の紛争を少なくするような不動産の分与方法をご提案できます。
離婚の住宅ローンの不動産財産分与を解説。計算方法と注意点は?
暴力、不貞行為など、相手方に責任がある
暴力、DVがある場合は、ご自身で解決することは難しいので、まずは身の安全を確保すべく、警察、市役所、弁護士など外部の専門機関にすぐ相談することが大切です。
専門家に依頼して、身の安全を確保し、平穏な日常生活を取り戻すことが優先されます。
また、相手方(配偶者)が不貞行為をしている場合は、慰謝料の請求が可能です。
但し、相手方が不貞行為を認めていない場合は、不貞の証拠が必要となります。
不貞行為を認めている場合は、慰謝料の金額として幾らが妥当か検討することになります。
このようなケースでは、弁護士に依頼することで適切な金額の慰謝料を獲得できる場合があります。
弁護士に離婚問題を依頼するメリット
弁護士に離婚問題を依頼すると、以下のような法的なメリットがあります。
- 妥当な離婚条件や離婚に至るまでの見通しを知ることができる。
- 協議離婚、調停離婚、裁判離婚等、離婚の手続きを任せられる。
- 書面を作成してもらえる。
- 提出する証拠を収集して、選んでもらえる。
- いつでも法的な質問ができ、疑問を解消できる。
- 類似ケースについての解決策を聞くことができる。
- 調停で、弁護士がいることで心強い。裁判所に対等に意見できる。
また、法的なメリット以外にも、以下のようなメリットがあります。
- 相手方と直接、やり取りしなくて済む。精神的な負担が軽くなる。
- 弁護士に相談することで、感情的にならずに冷静な判断が出来る。
- (裁判の場合)裁判所に行かなくていいため、仕事に支障が出ない。
- (調停の場合)調停委員に言いにくいことも代わりに言ってもらえる。
- 交渉や調停のその場で、有利不利、妥当、妥当でないという判断が即決でできる。
- 出来るだけのことをやったと後悔が残りにくい。
- 力強い味方ができ、1人で戦わなくていい。
弁護士への依頼を決めた際は、弁護士の中でも、特に離婚を多数扱っている弁護士に依頼しましょう。
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以上のとおり、離婚の際には、離婚後のライフスタイルを見据えて、双方の経済能力等を冷静に見極めるほか、慰謝料や養育費などの財産給付の負担・受領額も考慮に入れながら、現実的な決着点を探る必要があります。
離婚問題については、様々な困難な問題が生じる可能性がありますので、精神的な負担を軽くするため、事前に弁護士など専門家と相談するのがよいでしょう。
弁護士法人アルテでは、離婚問題に精通した実績豊富な弁護士が対応します。
適切な離婚条件の獲得に向けた正しい見通しによる計画を立て、それを実行してきた豊富な経験があります。
ご希望される場合は、当社の連携する税理士、司法書士、不動産業者をご紹介することもできますので、ワンストップでトータル的にサポート致します。
当社では、離婚にお悩みの方を助けるため全力を尽くします。
離婚問題でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。