離婚した夫婦間での子の引渡しに関する法制審議会中間試案(2017年9月8日)

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2017年9月8日、法制審議会(法相の諮問機関)の民事執行法部会は、離婚した夫婦間で子供を引き渡すルールの明文化を主とした中間試案をまとめました。

離婚した夫婦間で子を親権のある親に引き渡す際、直接的な強制執行に踏み切る前に、同居する親が応じるまで毎日一定の制裁金を支払わせる間接強制の導入が主な内容となっています。

また、裁判で命じられた養育費や賠償金などを支払わない債務者対策として、裁判所が金融機関に債務者の預貯金口座の有無や残高を照会する仕組みも盛り込みました。

9月下旬から約1カ月間、パブリックコメント(意見公募)を実施します。

その結果を踏まえ、法制審議会で審議を再開し、要綱案のとりまとめを目指すことになります。

以下、詳しく説明します。

離婚した夫婦間での子の引渡しのルール

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中間試案では、親権を持つ親が、子供と同居する親に引き渡しを求める際、原則としてまず制裁金を支払わせ(間接強制)、応じない場合に限って直接的な強制執行ができるようにしています。

間接強制には、制裁金を科すことで同居の親が自発的に引き渡すことを促す目的があり、子供の心身への影響に配慮しています。

現行法は子供の引き渡しを巡って明文規定がなく、動産の強制執行の規定を適用してきました。

法務省はルールを明文化した民事執行法改正案の国会提出を目指しています。

中間試案は、子の福祉に配慮し、引き渡しについて直接的な強制執行の手順を明確化しました。

そして、原則として引き渡しを命じる判決に応じるまで、制裁金を支払わせる間接強制を規定しています。

間接強制の決定が確定した日から2週間経過した後でなければ、引き渡しの直接的な強制執行はできないとしました。

なお、子供の心情に配慮し、原則として強制執行の場には子供と同居する親がいることが必要としました。

但し、はじめから強制執行できるようにすべきだとする意見もあるなど、重要な論点で部会内での対立が根深く、中間試案の「注」として「間接強制の手続きの前後を問わず直接的な強制執行の申し立てができるとの考え方がある」の一文も加えられました。

パブリックコメント(意見公募)の結果に注目が集まり、議論が続くと思われます。

この点、国際結婚破綻後の子の引き渡しについては、ハーグ条約に基づく国内法が整備されており、間接強制を不可欠としています。

養育費や賠償金の不払いの対応

また、中間試案では、養育費などの不払いを防ぐため、債権者の申し立てにより裁判所が金融機関に照会すれば、債務者の預貯金口座を特定できるようにもしています。

裁判所が日本年金機構などの公的機関に照会し、給与差し押さえに必要な債務者の勤務先情報を得られる仕組みも盛り込んでいます。

現状では、裁判所が債務者の口座を差し押さえる場合、債権者自身がその口座のある金融機関の支店を特定する必要がありますが、双方に人間関係がない場合などは特定が難しいという問題点が指摘されています。

そこで、裁判所が、金融機関には預貯金口座の有無や残高を、税務署や自治体には債務者の勤務先の名前や所在地を照会できるようにする内容となっています。

不動産競売の暴力団排除

そのほか、中間試案では、不動産競売から暴力団を排除する方策も検討しました。

裁判所が暴力団組員や脱退してから5年以内の元組員などが応札していないかを警察に照会し、該当する場合などに売却を不許可にできるようにしています。

まとめ(中間試案のポイント)

(1) 離婚した夫婦間での子の引き渡しのルール

原則として、引き渡しの直接的な強制執行は、同居の親が引き渡しに応じるまで毎日一定の制裁金を支払う間接強制を経て、同居の親と子が自宅に一緒にいる場合に限る。

(2) 裁判で命じられた養育費や賠償金を支払わない債務者対策

裁判所が債務者の預貯金口座の有無や額を金融機関に、勤務先の情報を税務署などに照会できるようにする。

(3) 不動産競売からの暴力団排除

入札を申し込む際は、暴力団組員や元組員でないことの誓約を求め、虚偽の場合には罰則を設ける。最高額の入札者について、裁判所は原則、警察に照会して組員や元組員でないか判断する。

 

 

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