ハーグ条約対応。子の引き渡し、養育費強制執行の法制答申(2018年10月4日)

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2018年10月4日、法制審議会(法務大臣の諮問機関)は、国際結婚の破綻で一方の親が母国に連れ帰った子供を、元の国に迅速に連れ戻すための法改正要綱を法相に答申しました。

離婚後に子どもの引き渡しや養育費などの支払いが決まったのに実行されないケースが多く発生していることを受けて、法制審議会は、子どもの引き渡しのルールを明文化し、財産隠しを防ぐ規定を盛り込んだ民事執行法などの改正要綱をまとめ、答申しました。

離婚後の子どもの扱いをめぐっては、裁判で引き渡しや養育費の支払いを命じられたにもかかわらず、親権を失った親が子どもを引き渡さなかったり、養育費などを支払わなかったりするケースが発生し、法務大臣の諮問機関の法制審議会が法律の見直しを進めてきました。

政府は、子の引き渡しを定めるハーグ条約に対応し、関連法の改正案を早ければ来年の通常国会に提出する予定としています。

以下、子どもの引き渡し、養育費の支払いの民事執行法改正等に関して、説明します。

ハーグ条約とは

ハーグ条約とは、正式名は「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」です。

この条約は、例えば、外国人親が子を日本から国外に連れ去ることや、日本人親が子を国外から日本に連れ去ることなど、国境を越えた子の連れ去りの発生を防止し、迅速に子を元の居住国等(「常居所地国」といいます。)に返還するための国際協力の仕組みや、国境を越えた親子の面会交流の実現のための協力を定めたものです。

日本は2014年1月、同条約を締結しました。

ハーグ条約に規定されている内容を日本国内で実施するための法律として、「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律」(「ハーグ条約実施法」といいます。)が定められています。

この法律は、国境を越えて連れ去られた子の返還や国際的な面会交流について、日本の中央当局の役割や裁判所における手続などを定めています。

ハーグ条約の概要

国境を越えた子の連れ去りは、子にとって、それまでの生活基盤が突然急変するほか、一方の親や親族・友人との交流が断絶され、また、異なる言語文化環境へも適応しなくてはならなくなる等、有害な影響を与える可能性があります。

ハーグ条約は、そのような悪影響から子を守るために、原則として元の居住国に子を迅速に返還するための国際協力の仕組みや国境を越えた親子の面会交流の実現のための協力について定めています。

(1)子を元の居住国へ返還することが原則

ハーグ条約は、監護権の侵害を伴う国境を越えた子の連れ去り等は子の利益に反すること、どちらの親が子の監護をすべきかの判断は子の元の居住国で行われるべきであること等の考慮から、まずは原則として子を元の居住国へ返還することを義務付けています。

これは一旦生じた不法な状態(監護権の侵害)を原状回復させた上で、子がそれまで生活を送っていた国の司法の場で、子の生活環境の関連情報や両親双方の主張を十分に考慮した上で、子の監護についての判断を行うのが望ましいと考えられているからです。

(2)親子の面会交流の機会を確保

国境を越えて所在する親と子が面会できない状況を改善し、親子の面会交流の機会を確保することは、不法な連れ去りや留置の防止や子の利益につながると考えられることから、ハーグ条約は、親子が面会交流できる機会を得られるよう締約国が支援をすることを定めています。

子の引き渡し強制執行の改正予定

国際的な親権争いの解決手続きを定めたハーグ条約の履行を円滑にするため、子の引き渡しの強制執行を容易にすることを主としたハーグ条約実施法など関連法改正案要綱を法相に答申しました。

海外での結婚が破綻し、親の一方が子を日本に連れてきた場合、その親が子と一緒にいなくても引き離し、元の居住国に戻せるようにします。

連れ帰った親がいなくても、連れ戻そうとする親がいれば裁判所の執行官が保護できるようにします。

日本に連れてこられた子を条約に基づいて親から引き離す場合、これまでは連れ去った親が子と一緒にいることが強制執行の条件でした。

このため、執行官が家を訪ねても親が居留守などを使い、引き離せないケースが少なくありませんでした。

改正案ではこの条件を撤廃します。

但し、子の心情への影響を考慮し、元の居住国の親は原則的に立ち会わなければならないこととします。

国際離婚をめぐる国内の子の引き渡しはハーグ条約実施法が定めます。

裁判所の命令に従わない親にはまず制裁金を科します。

それでも引き渡さなければ、裁判所の執行官が強制的に連れ戻します。

子を元いた国に戻したうえで、当事者間の話し合いや裁判で子の育つ環境を決めるためです。

現行法は同居する親が子と一緒にいることが前提となっています。

親が引き渡しを拒んだり、行方がわからなかったりする場合は連れ戻せません。

連れ戻す前に制裁金を科す必要があり、時間がかかるとの批判もありました。

改正後は連れ戻そうとする親がその場にいれば、連れ帰った親がいなくても引き渡せます。虐待、育児放棄などで子に危険が迫っていたり、連れ帰った親に制裁金を科しても引き渡しに応じる見込みがなかったりする場合、すぐに連れ戻せます。

但し、一緒に暮らしている親から引き離せば、子供が精神的なショックを受ける可能性があります。

そこで、法改正で「子の心身に有害な影響を及ぼさないよう、配慮しなければいけない」との規定も加えます。

国境をまたぐケースの要件緩和に合わせ、国内で離婚した夫婦間の子の引き渡しルールも同様に変更します。

養育費強制執行の改正予定

離婚に伴う子供の連れ帰りを巡り、国際離婚ではハーグ条約実施法などがありますが、日本国内の離婚に関しては明確なルールが法律で定められていませんでした。

そこで、法務省は同法とあわせて民事執行法を改正し、国際事案と同様のルールを明文化します。

裁判などで決まった養育費が支払われず、離婚後の生活に困窮する家庭は少なくありません。

これに歯止めをかけようと、法制審議会が民事執行法の改正要綱を答申しました。

不払いを続ける親に対し、強制執行をしやすくする内容です。

主な改正は、裁判所が金融機関や自治体などに対し、相手方の預貯金や勤務先の情報提供を命じる規定を設けることです。

養育費を支払う側の銀行口座の貯金残高や勤務先などの情報を裁判所が照会できる規定を新たに設け、財産隠しを防ぐことにしています。

貯金などの差し押さえには、金融機関名と支店名の特定が必要ですが、このハードルが高く、泣き寝入りする家庭は多いのが現状です。

また、相手が勤務先を変える場合もあり、給与の差し押さえも難しい場合があります。

民事執行法改正では、裁判などで命じられた養育費や賠償金の不払いに歯止めをかけるため、裁判所による照会制度もつくります。

一方の親が不払いを続けている場合、その氏名などをもう一方の親が裁判所に伝えます。

裁判所は不払い者の勤務先や預貯金口座を自治体や金融機関に問い合わせます。

支払いを求める親は、情報を基に、裁判所に財産の差し押さえを申し立てることができます。

 

 

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